ホーム


FAQ
 
当店でよくある質問についてまとめてあります。
以下に無い御質問については、遠慮なくトップページ上部「お問い合わせ」より
お尋ね下さい。

・大津絵の制作にはどれくらい時間がかかるのですか?
・肉筆作品の値段が高いように思うのですが?
・リクエストした絵柄を描くことは可能ですか?
・自分で表装したいので、絵だけを買えませんか?
・自分の持っている素材に描くことは可能ですか?
・サンプルではなく、実際の商品写真で選んで買いたいのですが?
・カタログやパンフレットはないのですか?
・自分の知っている大津絵とは画風が違うのですが?
・仏事・慶事・茶事に飾っても大丈夫ですか、また相応しい絵柄は何ですか?
・大津絵の絵柄は何種類あるのですか?
・大津絵は基本的に無銘・無落款だと聞きましたが?


問
大津絵の制作にはどれくらい時間がかかるのですか?
答
 作品によります。1日で制作可能なものもあれば、1週間以上かかるものもあります。ただ、大津絵の場合は一枚の絵だけを集中して仕上げる、ということはまずしません。
 たとえ実際に必要なものは一枚でも、数枚から10枚程度を同時進行で描き、出来の良いものを残すようにします。
そのため、「1日で制作可能」といっても、実際に一日で仕上げてしまうことはあまりありません。

 古材作品などはそうもいきませんので、逆に時間がかかってしまいます。

制作風景

 稀に、大津絵の解説書などで、「一枚の制作時間は10分程度」と述べられている場合がありますが、これはさすがに非現実的です。
 おそらく、リクエストにも応じて描く、という点から、このような制作時間を推定されたのでしょう。
 仮にその場でお客に待ってもらい絵を仕上げると言う場合、描き慣れた図柄で、ある程度の下準備ができていて、さほど複雑でない画題という条件であれば、30分程度で仕上げることも可能かもしれません。
 実際には絵の具の乾き待ちなどもありますので、これも机上の話となってしまいます。

 幕末あたりに量産された護符としての大津絵では、極端に簡略化された描線や、筆の勢いに任せた画風が特徴となっています。これらの場合は、あるいは10分での制作も可能かと思われます。

 
問
肉筆作品の値段が高いように思うのですが?
答
 価格に関しては色々とご意見を伺いますが、特に「高い」とお感じになられた方に少しご説明させてください。
  最近はプリントに手彩色の色紙や掛け軸が多く生産されるようになり、そういった作品は「肉筆彩色」を謳いつつ大変安価で入手できます。手彩色も海外に下請けに出し、機械表装されたようなものだと、びっくりするような安さです。
 しかし、当店で「肉筆」と言う場合は、あくまで四代目松山、もしくは五代目が自ら全てを描いたものです。その手間を幾許かでも御考慮いただけると幸いです。
 ただ、江戸時代の「庶民のための民画」と比べると、確かに高価なものになりつつありますので悩ましいところです。できるだけ手軽にお求め頂けるものも制作できるよう尽力していきます。 

問
リクエストした絵柄を描くことは可能ですか?
答
 これも絵柄次第です。できるだけ、リクエストに応じて描くこともしますが、やはりどうしても描けそうにない画題もあります。
 あまりに大津絵とかけ離れそうな絵柄、たとえば現代の機械やファッションが登場するようなものはお受けしておりません。
 また、題材としては描けそうでも、難しいためお時間を頂いたり、こちらの力量不足でギブアップするものもあります。過去の例で言えば、十二支の絵はなんとか制作しましたが、「宝船」の絵は諦めることになりました。
 何れにせよ、リクエストによるものはご相談次第であるとご理解下さい。

問
自分で表装したいので、絵だけを買えませんか?
答
 掲載品に無いサイズ、絵柄のものでも、ご相談いただければ制作できる場合があります。
 制作費用はサイズ・絵柄次第ですが、おおよそ色紙サイズ(30cm程度)で1万円ぐらいを目処にしてください。

半切和紙 『藤娘』
半切和紙に『藤娘』 ¥31,500



問
自分の持っている素材に描くことは可能ですか?
答
 この場合、描けるかどうかは素材によりますので、実店舗に持ってきて頂くのが一番確実です。
 遠方の方で、持ち込みが不可能な場合は郵送でもお受けしますが、その場合は往復送料を負担して頂くことになります。
 送られる前に是非一度ご相談下さい。多孔質の木材、石材、竹、表面に渋やニスでコーティングしてあるものには描けません。

枯木 「雷公の太鼓釣」
依頼制作品 枯木に「雷公の太鼓釣」

「鬼の寒念仏」
『鬼の寒念仏』

茶葉保管用の壺

店内展示中




問
サンプルではなく、実際の商品写真で選んで買いたいのですが?
答
 非常に申し訳ありませんが、現在、色紙や額などでサンプルの写真だけを掲載しているものが多数あります。
 実際にお届けするものを事前に見たいというご希望があれば、メールなどで出来るだけ対応致しますので、「この商品について問い合わせる」などを是非ご活用下さい。

問
カタログやパンフレットはないのですか?
答
  資料的なものや、商品一覧のようなものは作っておりません。
 このページ(大津絵の店OnlineShop)大津絵の店(実店舗ページ)での解説を充実させるよう努力いたします。

問
自分の知っている大津絵とは画風が違うのですが?
答
  古い大津絵は沢山の画工が描いていたものですので、様々な画風、画題が入り混じっています。今は当店だけで制作していますので、どうしても「大津絵の店」の画風で統一されてしまい、古大津絵の画風と違うということもあります。
  同じ素材で同じ画題を描いても、描き手が違うとその人間の好みや癖のようなものが出てしまうのです。

  ただ、基本的には江戸期からのものをそのまま描いているはずですので、あまりにかけ離れた絵と比べられている場合は、その絵は純粋な「大津絵」ではないかもしれません。
  たとえば富岡鉄斎や円山応挙のような著名な画家も大津絵を題材に絵を残していますが、こういった絵は当然その画家の絵であって、街道で売られていた大津絵とは随分雰囲気が違いますのでご注意下さい。

「鬼の寒念仏」
『鬼の寒念仏』
17世紀

二枚綴・描表装

当店所有



問
仏事・慶事・茶事に飾っても大丈夫ですか、また相応しい絵柄は何ですか?
答
  まず仏事ですが、大津絵が本来仏画から発展したことを考えると、飾っていただくことに何の問題もありません。特に「十三仏」の絵は法事用の実用品でしたので、元来の使い方に沿うと思われます。

  慶事用には「尉と姥(高砂)」「天神」「昇鯉」「鶴と亀」などがよく使われます。

  最後に茶事ですが、待合に飾っていただく分にはお好みで問題ないと思います。
 本席で掛けていただく茶掛けとなると、依頼を受けてから表装することになります。懇意の表具屋さんなどに頼んで、ご自分で表装される方も多いようです。
  茶事向けの絵柄は季節感のあるものがよいのですが、江戸期より「鬼の寒念仏」はよく使って頂いております。“寒”念仏ですので、年末から点初め、節分あたりまでが季節でしょう。
 他にも干支の絵は年初に、「福は内」「福は外」なら節分、「梅に鶯」「桃に鳩」は春、「瓢箪鯰」なら夏、「雷公の太鼓釣」「鬼の行水」なども梅雨から夏にかけてがよさそうです。「猿猴捉月」「指月」「騎牛帰家」「兎子望月」などは秋、「鬼の雪中念仏」は冬といったところでしょうか。

問
大津絵の絵柄は何種類あるのですか?
答
 この質問は簡単なようで、実は難しい問題を含んでいます。まず、研究者の方の立場を簡単にご説明しましょう。
  民芸研究の大家である柳宗悦氏は、その著書で大津絵は約120〜130種類であるとし、それ以降の学術書でも概ねそのように述べられています。これは現存する江戸期の大津絵、及び当時の文献に画題名だけ登場するものを合計した数です。

 ただ、柳氏の研究以降に発見された大津絵は当然その数に含まれませんし、同じ絵としてまとめられたものの中には、さらに細分化できそうなものもあります。たとえば「鬼の念仏」として描かれた絵は無数にあったでしょうし、細部の違いや描き手の違いをどこまで違う絵として分けるかは明確ではありません。
 また、多くの研究者の方は、大津絵を江戸時代のみのものとされるようです。明治初年に当店が開業した際にも、実際には他にまだ数軒の大津絵を商う店があったのですが、それらを含めても「大津絵は絶滅した」という評を覆すことはありませんでした。この辺りは話が長くなりますので、また機会を改めてどこかに記すことにします。

 何れにせよ、新しく発見された古大津絵、明治以降に考案された図柄を足すと200は越えると思われます。さらに細かい違いを全て違う絵として分類すれば、その数は300、400と増えるでしょう。
 そこで、最初の質問の答えですが、学術的に正確な数なら「100以上」、当店で描くことのできる絵全てということなら「200以上」といったところでしょうか。

問
大津絵は基本的に無銘・無落款だと聞きましたが?
答
 答えから言うと、仰る通り元来の大津絵は無銘のものです。江戸期の大津絵で銘のあるものはほとんど無く、銘のあるものは大津絵として認めない、という立場の方も多くおられます。
 しかしながら、当店でお扱いしている作品は全て松山の銘、もしくは落款が入っています。これは作家性を高めるためではなく、無用なトラブルを避けるために仕方なく施しているものなのです。
 かつては無銘の作品も制作していましたが、そういった作品が悪意のある人間の手に渡ると、古色を付け古大津絵として流通させたり、別の人間の銘を入れ転売することがあるのです。
 江戸期の真作の大津絵が数十万から時には数百万の値で取引されることがあるため、そういった贋作問題は大津絵には常に付きまとっています。

 「江戸時代に描かれた大津絵と同じものを現在でも継承する」という立場から言えば、銘を入れるのは非常に心苦しいのですが、現代社会の実情に鑑みて何卒ご容赦下さるようお願いいたします。

 尚、江戸期のものと混同しないような商品であれば、無銘のものを今でも制作することはあります。ひょうたん人形絵馬などには銘を入れないことも多々ありますが、これは故意のものですのでご注意下さい。




ショップへ戻る