G01 『鬼の寒念佛』 A

無地色紙

 鬼が僧衣をまとっている絵で、慈悲ある姿とは裏腹な偽善者を諷刺したものです。
  鬼の住まいは人間の心の内にあるということで、描かれた鬼の角は、佛の教えである三毒(貧欲・瞋恚・愚痴)いわゆる人々の我見、我執であると言えます。
  人は自分の都合で考え、自分の目でものを見、自分にとって欲しいもの、利用できるもの、自分により良いものと、限りなく角を生やします。
  大津絵の鬼は、それを折る事を教え、鬼からの救いを示唆しているとも言われています。

  大津絵には道歌が添えられることも多いのですが、この絵に添えられることの多い代表的なものを2つほどあげておきましょう。

 「真なき姿ばかりは墨染の心は鬼に現れにけり」
 「慈悲も無く情けもなくて念仏をとなふる人の姿とやせん」




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