本来と逆に、鬼が豆を撒き大黒を追う図ですので『福は外』という名で通っています。
「縁起でもない」と眉をひそめる方もおられますが、これこそ大津絵の真骨頂というべき画題で、最初に見て驚き、そしてその後考えさせられる面白さを持っています。
中身を伴わず幸福を願ってもこの絵のようなもの、という強烈な諷刺でしょう。
その意味合いは見る人それぞれ、という大津絵の倣いに従えば、「鬼にとっては福こそ鬼」とも、「結局人間は福を追いやり鬼となりたがるもの」とも受け取れます。
「我といふ心の鬼がつのりなば なにとて福の内にいるべき」
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