シンプルな仏塔図です。 単純な形ながら、細かなバリエーションが存在し、江戸期には結構な枚数が描かれたことが伺えます。 釈尊の墓・ストゥーパを模して造られたという仏塔は、図のような木造五重のものだけでなく、三重・九重・十三重と様々な形があり、石造や最近では鉄筋製のものも存在します。 ストゥーパは卒塔婆の語源であり、卒塔婆もその元来の意味はこの“塔”と同じです。 塔の先端には宝珠があり、ここのお釈迦様の遺骨を納めるようになっています。図ではその宝珠部分は描かれていませんが、その後に続く九つの宝輪はしっかりと描かれています。 「安置する心は仏 身は塔の 道理をしめすものとしるべし」 ちなみに、非常に簡単に見えるこの塔の図、実際に“あっさり”と軽い筆致で仕上げようと思うと、中々に難渋する絵です。 |