外法(げほう)とは、この図では寿老人のことを指します。
大津絵の代表というと、今でこそ「鬼の寒念仏」や「藤娘」がすぐに思い浮かびますが、元来、この「外法と大黒の梯子剃り (寿老人)」も相当に人気のあった絵柄のようです。
長頭の寿老人の頭に梯子を掛け、禿頭を剃る大黒という図は、最初は単純な戯画だったかもしれませんが、江戸中期頃より諷刺画としても描かれるようになり、心学者の教えを道歌にして添えるようになりました。
「寿老人子鹿の年も暮れにけり」
「福も寿も登りつめたる頂ははだかになってすべりそうなり」
「高慢の高い頭をはしごにてそりこぼつのはふくのかみゆひ」
財(大黒)を追い求める事ばかりでは寿(寿老人)を損ねるという意味にもとれますし、欲は程々に押さえる (剃る)べしともとることができます。
いずれにせよ、大津絵十種にも選ばれる代表的な図柄で、「長命を得る」効果があるとも伝えられています。
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