F05 『外法と大黒の梯子剃』

無地色紙

 外法(げほう)とは、この図では寿老人のことを指します。

 大津絵の代表というと、今でこそ「鬼の寒念仏」や「藤娘」がすぐに思い浮かびますが、元来、この「外法と大黒の梯子剃り (寿老人)」も相当に人気のあった絵柄のようです。
 長頭の寿老人の頭に梯子を掛け、禿頭を剃る大黒という図は、最初は単純な戯画だったかもしれませんが、江戸中期頃より諷刺画としても描かれるようになり、心学者の教えを道歌にして添えるようになりました。

「寿老人子鹿の年も暮れにけり」
「福も寿も登りつめたる頂ははだかになってすべりそうなり」
「高慢の高い頭をはしごにてそりこぼつのはふくのかみゆひ」

 財(大黒)を追い求める事ばかりでは寿(寿老人)を損ねるという意味にもとれますし、欲は程々に押さえる (剃る)べしともとることができます。
 いずれにせよ、大津絵十種にも選ばれる代表的な図柄で、「長命を得る」効果があるとも伝えられています。





『大黒』 A
『えびす』 B
『福は外』
『外法と大黒の相撲』

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