矢の根

M15 『矢の根』 A

和紙

 父の仇討ちにその生涯を賭けた曽我十郎、五郎兄弟。その弟、五郎を主人公にしたのが歌舞伎「矢の根」です。
  この絵は五郎が元日に鏃(やじり)を砥く場面ですが、「矢の根」とはこの鏃(矢尻、矢先)のことです。どちらかというと関東の方がより人気のあったお芝居のようですが、大津絵でも人気を博し、江戸後期には大津絵十種にも選ばれています。
  ただ、同じく大きな矢を持つ絵 『為朝』と混同されるようになり、矢の根というとそちらの方が一般に広まってしまいました。
  歌舞伎でも五郎が矢を手にして見栄を切る場面が印象に残るのか、「為朝」を「曽我五郎」と置き換えてもあまり違和感がないようです。




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