頭には頭巾(ときん)、背に笈(おいずる)、手には錫杖(しゃくじょう)という、山伏の図です。 髭をたくわえ、丹(朱)で塗られた顔は、鼻こそ低いものの同じ大津絵の「天狗」を思わせる表現です。 山岳信仰と仏教が習合し生まれた修験道を実践する者で、当店の近くでは三井寺(園城寺)も拠点とされています。 宗教図ですので、仏画の分類で構わないのでしょうが、ここでは風俗画として掲載しました。 この図が何を目的に求められたのかは、今となっては分かりません。飾って拝むためなのか、その霊力にあやかろうとしたのか… 地方によっては珍しい風俗を描いたものとして、お土産に購入する旅人もいたのかもしれません。 |