竹に虎

C07 『竹に虎』

和紙

 

 日本では古来から人気の高い「虎」の絵で、大津絵では竹を添えて描いています。
 江戸時代の日本大衆にとって、虎を実際に目にする機会は無く、屏風絵やお話の中で登場する虎から想像するしかありませんでした。

 この図の虎も、他の牛や馬の絵に比べると、写実的とは言い難い描写になっています。ギョロ目に眉のこの虎は、獰猛さよりも愛嬌を感じさせます。

 「世の中の虎狼は何ならん 人の口こそなほ勝りけれ」

 江戸後期には上記道歌が添えられ、戒めの絵としてもされましたが、この元歌は平安中期、藤原良経の次の短歌です。

 「世の中に虎狼は何ならず 人の口こそなほ勝りけれ」





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