F04 『猫と鼠』

無地色紙

 本来食べ、食べられる両者が酒盛りに興ずる図。
 猫にすれば、目の前の餌も獲らずに遊び呆ける様となりますし、鼠にすれば喰われることも知らずに呑気に酌をしていることになります。

 一見牧歌的な絵ですが、両者を人間に置き換えれば、その意味するところは強烈な諷刺です。

 「聖人の教えを聞かず終に身を滅ぼす人のしわざなりけり」

 ちなみに、中央下に描かれた徳利には「上々諸白」とあります。
 諸白とは戦国期より造られ始めた精米だけをつかう澄み酒で、伊丹・池田(兵庫県)が中心産地です。
 江戸にも盛んに送られた名酒で、現在も愛飲者は多いようです。




ギャラリートップへ