狐が馬に乗る図で、江戸中期から存在し、バリエーションも豊富です。 この図では狐が蔵の鍵を持ち、尻尾の先が珠になっています。これだけを見れば稲荷神の使いのようですが、画の意図ははっきりとはしません。 稲荷の狐は白狐ですが、図の狐は茶色の体毛をしています。 風刺画としてみた場合は、「狐を馬に乗せた様」という慣用句から連想されるように、キョロキョロと落ち着きの無い様子を描いたものともされ、さらには乗るべきでないものに乗る、おだてられ世辞に乗せられて調子に乗ることを戒めているとも言われます。 「乗るまじきものに乗るのは皆狐 落ちてこんくわい後悔をすな」 この図を狐神信仰の観点から考察されているのが、幻想画家の山田維史氏です。 “火生土(戊午)”、火気の馬(午)にたすけられ、土気(狐)が強化される、その理をそのまま図にしたのがこの絵である、と氏は述べておられます。 この図を理解する参考になると思いますので、ご関心のある方は、氏のHPも是非ご覧下さい。 > 山田維史の遊卵画廊 (楽天ブログ) > “狐信仰とそのイコノグラフィー” (上HP中の論考ページ) |