大津絵に登場する鬼の中では比較的”真面目な”ものの一つが「雷と奴」の雷神ですが、どことなくユーモラスな姿態はやはり大津絵のものです。 ただ、他の鬼のように念仏を唱えたり、鼠から逃げたりといった醜態は見せていません。 普段は威張り散らしていることであろう奴(やっこ)を、その雷鳴で怯えさしている様は雷神の面目躍如で、まさしく民衆に畏敬されていた天上の神です。
「天の為す禍は猶さくるべし 自らなせる禍はのがれがたきぞ」